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 ワインのマーケット

酒類市場の現状とこれから にもどる

ワインに目を転じてみますと、一口にワインといってもさまざまな商品が流通していて、価格もその中身も多様です。ワインを積極的に販売していく上で重要となるのは、その多様性を認識することです。ワインはたとえばビールなどと違い、1本1本かなりその中身が違います。日本のビールの多くは、グラスに注がれてしまえばその違いを認識することはなかなか困難です。ところがワインの場合は、まったくワインを飲んだことがない人にでも、違うワインをお出しすれば多くの場合個性がずいぶん違うことを認識なさいます。色が違えばなおさらです。

したがって消費者は、数あるワインの中から自分の好みにあったワインを自分で選択することは一般的には困難なこととなります。もし消費者がはじめから飲むワインを決めていて(知っていて)、それを買いに行った場合は別です。しかしたいていの場合、消費者は何かおいしいワインを買いたい(あるいは飲みたい)と思って出かけるのですが、いざワインの売り場に立って(あるいはレストランなどでワインリストを見せられて)選ぼうと思っても、どれが自分の好みにあったワインかわからず立ち往生してしまいます。

ワインという商品は、その多様さゆえに消費者には非常にわかりにくく、消費者自身では選択しづらい商品です。そのうえ、消費者のワインに対する嗜好もきわめて多彩で、誰かがおいしいと言ったからといって、そのワインが万人に向くというわけでもありません。したがってワインという商品は基本的にはマスマーケットには不向きな商品群であるといえるでしょう。もちろんワインのすべてがマスマーケットに不向きだというわけではありません。しかしマスマーケットでは、消費者一人ひとりの嗜好を聞いてその嗜好にあったワインを個別に提供するという手法が基本的にとりづらいので、消費者はワインを買いたくてもなかなかワインを買える場がないと訴えているのが現状であろうと思われます。

ここからは、ワインという商品は現在の日本のマーケット環境では、基本的にはマスマーケットには適合しづらく、非マスマーケット向きの商品であるということを前提にすすめます。

ワイン市場参加者が共有すべきは、日本のワインの市場は実は潜在的に非常に大きい、という大前提です。確かに日本の全アルコール飲料に占めるワインの割合は、数量ベースで3%弱です。これに対し清酒は9%、しょうちゅうは10%です。(国税庁 酒類課税数量統計のページへ)このことから、現状ではワインの消費量はほかのアルコール飲料のカテゴリーから見ても大きいものとはいえません。しかし、ワインの消費需要が本当に少ないために、このような数字になっているのかどうかということはよく考えてみる必要があります。


本当にワインのマーケットは小さいのか

統計上の数字は確かに見ていただいたとおりです。しかし、本当に消費者のワインに対する需要がそれほど小さいのかどうか、統計で表れている数字が実質需要と一致するものであるのか、そのことを見ていきましょう。

一番の問題は、消費者がワインを欲しているかどうかです。そもそもワインを飲みたいという人があまりいないのなら、あの3%弱という数字はこれ以上増えることはないと言えるかもしれません。まず、どうしてもワインが欲しい、飲みたいという人は手段を講じて手に入れています。これはすでに数字に表れています。問題は、ワインを飲んでみたい、買ってみたい、あるいは関心があると思っている人たちがワインを購入しているかどうかで、そういう人たちがいるのかどうかということです。

この部分のいわゆる潜在需要は、統計数字には表れないので数値化はできませんが、この潜在需要は実はマーケット参加者が見ているよりはるかに大きいと思われます。たとえばボジョレーヌーボーがひとつの例として挙げられます。過去数年間日本におけるボジョレーヌーボーの販売数量の伸びは目覚しく、2002年には60万ケースを越え、2004年にはその数量は85万ケース(およそ1000万本)に達しています。これだけ大量のワインが極めて短期間に販売され、しかも数年にわたって継続されているという現況はどう考えるべきなのでしょう。

ここ数年の日本におけるボジョレーヌーボーの販売は、商戦終了後、販売残が大量に出たという話は聞いていません。ということは、それらワインは消費者に販売された、つまり消費者が購入したということになります。確かにボジョレーヌーボーは日本においては大きなイベントであり、ファッション的要素も大きいのですが、しかしワインは買い続けられているのです。もし、一度買って飲んだワインが気に入らなければ、いくらお祭りだからといって、好きではないものを次の年も買い続けるという事は考えづらいことです。ということは、消費者はボジョレーヌーボーの味や風味を好んでいる、と見てよさそうです。

日本の人口はおよそ1億2000万人、そのうち20歳以上の人口はおよそ1億人です。もちろんそのすべてがアルコール飲料を消費するということではありませんから、ボジョレーヌーボー1000万本が消費されたという事実は、すくなくともワインの全アルコール飲料に対するシェアが3%という実態数字からすると整合性が取れないということになろうかと思われます。このふたつの現実数字をどう理解すればよいのでしょう。考えられる可能性として、ボジョレーヌーボーは好きだから毎年買うが、しかし日常的にはワインは買っていない、と仮定するとこのふたつの事象は整合するのではないかと思われます。

このことを簡単に言えば、日ごろからワインには関心があって買って飲んでみたいとは思うが、ボジョレーヌーボー以外はほとんど買わない、という人たちがたくさん存在するということです。ではなぜその人たちは日ごろワインを買わないのか。ここにワインマーケットを見る大きな手がかりがありそうです。


ワインのマーケティング

ワインを買って飲んでみたいという大きな潜在需要がありながらそれが顕在化しない、つまり販売に結びついていない、これはいったいどういうことでしょうか。

結論的にいえば、ワインを買いたいと思っている多くの消費者に対して、ワインの流通・小売がボトルネックになっているからだと思われます。ボトルネックというのは、ビール瓶に水をつめてその水をバケツに移そうとしたとき、ビールの首の部分が細くなっているのでなかなか水がスムーズに出て行かない、転じて流れるべき商品や情報が何かが障害となってうまく流れないことを言います。

ワイン市場の場合は、ワインを欲しがる消費者がたくさんいるにもかかわらず、消費者がワインにアクセスできない状態がボトルネックになっているのではないでしょうか。このボトルネックというのが具体的にどこを指すのかといえば、実はワインを販売している小売業あるいはレストラン、さらには卸業者などの流通部門がそのボトルネックとなっているのだと思われます。

ビール瓶をコップに持ちかえて、水の入ったコップを逆さにすれば、水は何の抵抗もなくバケツに流れ落ちます。ワインの市場においてこのボトルネックが解消されれば、消費者へのワインの流れがスムーズに運び、消費者も自分の求めるワインを楽しく買えるのではないかと思われます。特に小売の部門がワインの販売を消費者の求めに応じてきちんとおやりになれば、ワインは驚くほど売れていきます。なぜなら需要があるからです。


ワインの販売で最も大事なこと

ワインの販売において何よりも大切なことは、ホスピタリティです。ワインは基本的にマスマーケット商材ではないので、個別のお客さんへの個別の対応が必要です。黙って並べておけば売れるという性格の商品ではありません。したがってワインの販売では必ず消費者と何かしらのコミュニケーションをとらなくてはいけません。このコミュニケーションが顧客にとって不快であるとワインどころではなくなってしまいます。小売の現場、レストランでの対応では最も重要な部分であり、ワインの知識云々以前の基本的な部分です。

さらに重要なのは、商品を吟味する力です。ワインの場合はテースティング力といってもいいでしょう。この商品吟味力はなんといってもワインを仕入れるときに大きな力を発揮します。ワインの品揃え(マーチャンダイジング)、品質維持、売り場構成はすべて商品を吟味することから始まります。(テースティングについては、『ワインの流通と販売に携わる人たちがすべきテースティング』をご覧ください。)

特にワインの小売ビジネスでは、自社/自店の基本的な経営方針をベースに、商品仕入れ、店舗運営、マーケティング、プロモーション、販売政策などなど一連の経営を、ワインについてのきちんとしたプロフェショナルとしての造詣を基礎に行うということが求められます。いまや消費者は、自分たちが楽しくワインを買える(あるいは飲める)店の出現を待っています。

酒類マーケット全体の中でワインを代表とする非マスマーケットには、現在のところほとんど参入者はないと見ていいでしょう。マーケット参加者のほとんどがマスマーケットに注力している中、この非マスマーケットは、市場参加者にとっては宝の山のように思えますが、いかがお考えになりますでしょうか。

消費者に望まれるワイン販売のやり方をすればワインはどんどん売れていきますが、そのためにはお膳立てが必要です。ワールドファインワインズでは、それぞれのお店の環境にあった最良の手法をよくご相談しながら進めてまいります。



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